オーナーインタビュー
BESSの暮らしはどうですか?
「ログハウスでの暮らしってどんなもの?」「田舎暮らしに憧れているけど…」。木の家での暮らしを思い描いている方へ、BESSのログハウスや個性派住宅にお住まいのご家族の実例をご紹介します。新たな暮らしを始めた経緯、用途により異なるログハウスのスタイル、家づくりへの思いや暮らしぶりなど、ぜひ参考にしてください。
カントリーログハウス
住みやすいように手を入れながら暮らせる家
高校の頃から憧れていたログハウス
茅野市郊外ののどかな山里にK邸はある。周囲は緑がたくさんあって、標高は1100メートル。窓を開ければ真夏でも心地いい風が吹き抜けていく。夜ともなれば、天窓からお月さんが見られる。この家の娘さんが大好きな眺めのひとつだ。家庭菜園と呼ぶには相当広い畑もあって、裏山ではキノコも採れる。信州に暮らす贅沢を日々味わうにはぴったりの場所ではないか。
Kさんは高校時代にログハウスの存在を知って、以来ずっと憧れていた。将来自分が家を建てるならログだと決めていたと言う。ご実家のある伊那市から駒ヶ根展示場が近かったので、まだ結婚の予定もなかった25歳の時から展示場に頻繁に足を運んでくださった。その後仕事の都合で、しばらく展示場通いができなくなったが、ログへの夢は変わらず持ち続けたという。
31歳で結婚して、しばらくは奥様の実家で住んでいたが、3年前いよいよ長年の夢を叶えるときがきた。「住めればどんな家でもいい」と話す奥様とは対照的に、家が出来上がる前から、カントリーログハウスの雰囲気に似合う雑貨を集め出すほど、ご主人の気合の入れようは相当なものだった。そして、キャンペーンモデルのコリーナ36を選んだ。「2階にベランダがほしくてこのモデルにした」と言う。
ご主人がイメージしたのは、西部劇に出てくるような古い酒場だ。玄関にはアメリカンテイストな看板やシカの角が飾られ、室内にはアメリカの古い雑誌の広告が額に入れて飾られている。夫妻が新婚旅行で行ったハワイから持ち帰ったという外国製ビール瓶も、薪ストーブの脇などにさりげなく置かれ、Kさんの狙い通りの雰囲気を醸している。
休日に家で過ごすのがストレス発散
家ができてから、以前しょっちゅう行っていたゴルフにご主人はピタリと行かなくなったそうだ。「休日に出かけなくなりましたね。家のことをやるのがいちばん楽しい」
しっかり日焼けしたのは、家の周りの草刈りや畑仕事に精を出すから。冬に備えて薪づくりもする。廃材で棚をつくったり、デッキや壁のペンキを塗ったりと、家の仕事で週末はいつも忙しい。「でもそれが嫌じゃないんですよね」
畑仕事の師匠は、同じ敷地に住む義母さんだ。厳しい指導のおかげで、最近はかなり上達した。丹精込めた畑に、娘さんは家から裸足で収穫に行く。たとえば朝採りトマトは、畑で採ったままをさっと洗ってガブリとやる。新鮮な野菜の美味しさを幼い頃から知っているのだ。「子供たちは二人とも野菜が大好きで、野菜を食べさせるのに悩んだことはないですね」と奥様が言うのも当然だろう。
裸足で外に出てそのまま家に入れば、床が汚れるかもしれないのに、ご主人も奥様も全然気にする様子はなく、「上の子は家で靴を履く習慣がないんですよね」と笑う。「汚れたら拭けばいいし、キズだってついて当たり前です。普通の家じゃできないことだと、かえって喜んでいます」
家の中にも子供たちの楽しみがある。2階の家族共有スペースは今、子供たちのプレールームだ。すべり台やブランコなど、購入をためらいそうな大きな遊具も、これだけの空間があれば置けるし、ログの木肌ともよく似合う。
手を入れながら、そのときの自分たちが住みやすいようにできるのも、ログのいいところだとKさんは話す。「普通の家なら、完成した後に失敗したなって思っても、自分じゃなかなか直せないじゃないですか。でもログならできる。家ができたときが完成じゃなくて、ずっと自分たちに具合いいように付き合っていけるんですよね」
トウモロコシ畑にクマが出た!
上の娘さんの友達がK邸に遊びにきたとき、薪ストーブを見て「これなに?」と聞いたそうだ。信州でも暖房に薪ストーブを使う家は少数派だ。だから黒くてゴツくて、煙突を突き出したこの鉄の塊が、その子には何だか分からなかった。確かにエアコンやファンヒーターは便利かもしれない。でも薪ストーブがあるからこそ、子供が体験できる暖かさや時間というのもきっとあるはず。両親もそう思っている。
薪ストーブといえば、「家は住めさえすればいい」と言っていた奥様が、今やその虜になった。ピザやポトフなど料理にも大活躍だし、「子供が寝た後、一人でマシュマロを焼いて食べる」のが密やかな楽しみなのだとか。さらに「知り合いの家に行っても、普通の家だと、『ああきれいだな』とは思っても、面白さは感じない」と今では言う。十数年来ログに暮らすことを思い描いていたご主人とは違い、奥様はログハウスに住んでみてその面白さをじわじわ感じている。
そんな奥様の実家の両親も、娘家族の暮らしに影響を受けて、自宅に薪ストーブを導入した。お父さんの知り合いが材木屋さんを営んでいるそうで、薪の調達には困らないそうだ。
秋、色の装いを変えた裏山では、キノコ狩りやクリ拾いを楽しめるという。でも、そうした恵みばかりじゃなく、予期せぬ出来事が起こるのも自然のあるがままの姿だ。ある夏のこと、寝室で寝ていた家族は、明け方に窓の外でする物音に目を覚ました。目の前の畑で、何やら黒いものがゴソゴソうごめいている。イノシシだろうと思ったそれが立ち上がったとき、首の下に白い三日月のような模様を見つけて声が出ないほど驚いた。なんとクマがわが家の畑のトウモロコシを食べていたのだ。
人の目を気にしない伸びやかな暮らし
K邸では、3メートル幅のウッドデッキをL字型に設置した。この広々としたスペースを、一家はまさにセカンドリビングとして使い切っている。休日、家族が寛ぐのはいつもこのデッキだ。子供たちはここを裸足で駆け回る。暑い日ならすぐにプールも持ち出して水遊びをすればいい。タープを張れば、家にいながらにキャンプをしているよう。リビングとの間はいつも開けっ放し。虫が入っても気にしない。子供がはしゃぐ声も、プールの水しぶきも上げたいだけ上げればいい。ご近所さんを気遣って遠慮しがちな街場の暮らしとは大違いである。
お昼が近くなりお腹が空いてきたら、「バーベキューにしようか」というのは、ごくごく自然な流れである。野菜は畑にたくさん実っている。お肉だけ買ってきて、デッキでもうもうと煙を立てながら焼く。「周りの目を気にしなくていいのが、いちばんいいことですね」。子供が元気に遊ぶ様子を眺めながら、大人たちはビールに喉を鳴らす。
「一週間仕事して、週末に家族で家にいることがいちばんのストレス発散です」。ご主人のその言葉が本当なのは、家族の笑顔を見ていればよく分かる。今年の夏休みは、親戚家族がたくさん集まって、流しそうめんをする予定だとか。家は、家族が暮らしを楽しむための道具だと、Kさん一家を見ていて改めて思った。